「さぁ…行きましょうか…」

番人は両開きの扉に手をかけると、ゆっくりと開いた。

少しだけ開いた扉の向こうは、まばゆい光が満ち満ちている…

先に何があるかは、通った人間にしか知る事の出来ない世界がつづいていた。

「…あの…こ〜ゆうのって、ありなんですか?」

女は番人に質問した。

「ええ、何の問題もありませんが?」

仮面のせいで、全く表情が分からない…

「そう…ですか…」

分かったような、分からないような…

女は結局何も分からないまま、もう一度、男が走り去った桜並木を見た。

「…後で追いつかれますよ…」

「そうですよね…」
              
女は気持ちを扉の方へ向けると、扉に手をかけた。

思いの他、重厚そうに見えた扉は軽く開き、女はまばゆい光に目を細めると、吸い込まれるように扉の中へと消えて行った…

「…どうぞ良い旅を…」

番人が静かに女を見送ると、そっと呟いた。