それからさらに数年の時が過ぎ、ウワサで子供が出来たという話を知る事になる…

あきらめるために、あらゆる手を尽くしたが、そのうちあきらめる事に疲れて、あきらめる事をあきらめる…という悟りの境地にたどり着いた頃に、花倉は久しぶりに『光の庭』の夢を見た。

その夢は前に一度見た内容で、賭けについて図書館で話している内容だった。

花倉は目が覚めると、自分の愚かさにガクリときてうなだれた。

「…自分が提案した賭けの主旨、ずれてるじゃん…好きでいる事が目的なのに、忘れよう忘れようとかして…」

花倉はベッドの上で、恥ずかしさのあまり転げまわった。

「…しかも今頃、星川さんが光の庭で会っていた男だって気づくし…しかも、しかも星川さんがふり向かない事が賭けの大前提だなんて…自分が出した設定で、ずっと星川さんを縛ってきたかと思うと…」

と、独り言を言って、また転げまわった。

そっけない態度も、何もかも意図的なものだったなんて…