「お疲れ様でした〜花倉君」

四年生のこの時期まで会長をしていた花倉をねぎらって、乾杯がされた。

「花倉君、北海道帰るんだっけ?」

元書記の一ノ瀬がたずねた。

「うん…地元の会社で、やっと拾ってもらえてねぇ…」

「苦労してたもんね〜」

竹本がいたわりの言葉をかけた。

「みんなは、わりとすんなり決まってたよね…」

「まぁまぁ…」

花ちゃんは、がんばった…と金井が肩を叩いた。       

「星川さんも、何か言ってやってよ〜」

金井が、一人静かに日本酒を飲んでいる星川に話をふった。

「ん…ああ…良かったよね…」

星川が花倉を見ずにそう言うと、酒を飲み干した。

「あ…ありがとう…」

「星川さんは、都内のIT関連だったっけ?」

金井は何も気づかない様子で、話題を変えた。

″あれ…?気のせいかな…?何かそっけなかったような…″

身に覚えのない花倉は気のせいだと思い、あまり深く考えなかった。