「…だから本人抜きで、話を進めていたみたいね…」

「ムリムリ…何人くる気?」

「さぁ…でも、金持ちの息子だってウワサが流れてるよ?」

「どんだけガセ…どっからそんな話が…」

ため息をついて、花倉はうなだれた。

「まぁ、宿泊はともかく、確実に案内はさせられるかもね…」

面白そうに星川は笑った。

「かんべんして…」

「あ、会長いい所に!旅行の件なんだけど〜」

嬉しそうに花倉を見つけた竹本が、前方から手をふってこちらに走って来た。

手には旅行のパンフレットが握られている…

「…走るよ、星川さん」

花倉は竹本から逃げるように、いきなり反対方向に向かって走り出した。

「え?私も?」

つられて星川も走り出す…

「えぇ〜?どうして逃げるの〜?」

竹本は訳が分からず、二人を追いかけた。   

ナゼかパンフレットをふりながら追って来る竹本が、恐ろしい姿に見えて、花倉と星川は必死に走って逃げた。