「はぁ…そこまで言うなら、やってみますか…面白そうだしね?」

「じゃあ、決まりね!」

女は自分の案を、ペンで丸く囲んだ。

「ただし…」

「え?」

「期限をつけようね…死ぬまでとかだと、シャレにならないから…」

「あ、そっか…忘れてた」

「そこ忘れちゃダメでしょ?はぁ…賭けに勝っても死んでたら、望みを叶えられないでしょ?」

「あははは…ごもっともです…じゃあ、いつまでにする?」

「そうだねぇ…」

男は口元を手で押さえると、考え込んだ。

「じゃあ、この年でどう?」

男はルーズリーフに、その年齢を書き込んだ。

「楽勝、楽勝」

「決まりね…僕も前世での反省を込めて、同じ思いをもう一度味わってみるよ…思い知るためにね…」

そう言って、男は女に微笑みかけた。





「…花倉君、講義終わったよ…ランチ行かない?」

頭の上から静かに声をかけられ顔を上げると、同じ講義を取っていた星川が立っていた。

昼休みに入り、校内は活気に満ちていた。

「あ…星川さん…おはよう…」

「おはよう…」

「あ〜ランチだったね…おごるよ、Aランチ…」

あくびをしながら荷物をまとめると、花倉はぼやけた頭で答えた。