「…それを言われると、痛いね…」

「賭けをするなら、負ける勝負をしたくないしね〜?」

女は勝てる気満々のようだ。

「…でも、この賭けの条件というかルールさぁ…僕が絶対ふり向かない事が大前提って、どうよ」

女が提示した賭けのルールによると、そういう事らしい…

「片思いって所に、やる意味があると思わない?…手に入らぬものを想い、それでも想いつづける事は出来るのか?…みたいな」

女は楽しそうに男を見た…男は少し苦笑いして、ため息をつくと言った。           

「…君はMかい?…結果的に僕は前世で、君にそういう思いをさせてしまったから…もう二度と、させたくないんだけどね?」

「だ〜か〜ら〜、最後にもう一度くり返す意味があると思わない?」

女は色々な意味を込めて、男を見た。

「…絶対、意思表示とかしないよ?」

「うん…」

「告白されてもスルーするし…」

「うん…」

「…結婚とかもしちゃうよ?」

「う…うん…」

「子供とか…孫とか出来ても平気?」     

「の、望む所だわ…!」

グッと握りこぶしを作って、女は受けてたつ意思を示した。