「そろそろ、始まるよ…」

男は女に微笑むと、列の後ろで立ち止まった。

「え?」

女が男の指す方を見ると、大きな扉がまさに開かれる所だった。

番人の女性が「どうぞ」と促した。

通行者の男が別れのためにふり向くと、友人らしき男達に抱き着かれて、もみくちゃにされた揚句、胴上げまでされている…

「…いつもこうなんだ?」

女が男に聞いてみると、男はイタズラっぽく笑い、

「人によって様々だねぇ…番人がいる時もあれば、いない時もあるし…見送り人がいない時もあるよ…」

「へ〜」

女が感心していると…

胴上げから下ろされた男が、フラフラと歩いて扉に近づくと、勢い良く扉を開け放った。

扉の向こうは、まばゆい光であふれている…