「あそこ、何だと思ってたんすか?みなさん」

「夢の世界…?」

「前世とか?」

「…あの世?」

この件に関してあまりメンバーで語り合う事がなく、初めて聞く意見に、それぞれが驚きを感じているようだった。

「基本…でしょう?」

伊勢の鋭い突っ込みに、一同は黙り込んだ。

このメンバーの中に、スピリチュアル系の話しに詳しい人間がいなかったらしい…

これ以後、この手の話しに詳しい伊勢の存在は、重宝される事になる…

そしてまた、色々な事が明らかになって行った。





『…本日晴れて〇〇様の通行許可が下りました…お見送りの方は、こぞってお越し下さい…』

図書館の館内放送が、くり返し流れた。

「…行ってみない?」

「うん」

中庭にいたあの男女が『見送り』 に参加するために、桜並木がつづいている道を目指して歩き始めた。

その道は図書館の中央を貫いて、図書館の入り口と反対側に存在していた。

その道に出るための図書館の扉は普段は閉じているが、今日は開けられていて、解放された扉の向こうには、水平線の見える水辺の上に、一本の長い道がのびていた。