「…いつもヒドイ事ばかり言ってる…そばにいる根性もないし…相手のためと言いながら、本当は自分のためだったりするのかな…とかね?」

「へ〜」

女は感心して話に耳を傾けた。

「リアクション…それだけ?」

「うん…」

男は意外だという表情をして、ガックリとうなだれた。

「いや…だって、あの場合仕方がないと思うし…シナリオ通りだし…」

女は男の隣に腰かけると、当たり前のように答えた。

「…シナリオには、いつもすき間がある…何か他にやり様があったんじゃないかって…」

女は頬杖をつきながら、遠くを見ると言った。

「…お互いに足りないのは、勇気と根性だよね?」

「ははは、言えてる」

「だよね〜?」

二人はひとしきり笑うと、顔を見合わせた。

「これからどうしようか…?」

「…今回は幸せになるシナリオでって事で、一緒に作ってる訳だけど…」

女の問いに男は、あいまいに答えた。