北野春也。
これが、愛しいひとの名前。
あたしはこの人に、溺れてしまった。
福原なずな。
これが、あたしの名前。

「自分のこと、絶対かっこいいと思ってる。」
それが、北野君の第一印象。
サラサラの髪をはらう仕草、長い脚を組む仕草、表情。
すべてが、ナルシスト。
それが、北野春也。
でもあたしは、そのすべてを、愛しく想う。
北野君を初めて見た中1のときは、あまり北野君を好きじゃなかった。
でも、中2になって、北野君に対する意識がかわった。
何かに、北野君の何かに惹かれた。
気づけばあたしは、北野君から目が離せなくなっていた。
そしてあたしが一番好きな北野君。
それは、バスケをしている北野君。

「ねぇ、やっぱさぁ、どっかの部活と体育館となりになるときは、男バスがいいよねぇ」
実際、そうでもない。
「うん そうだね」
でも、あたしは気を使って、友達に合わせて、そう言う。
だって、バスケ見るのあんま興味ないし。
するのはたのしいけどさぁ
あたしが所属しているバドミントン部と、男バスはよく体育館練習が一緒になる。
でも、興味がないから、みることはあまりない。
「ヒマだなぁ」
休憩時間をもてあましたあたし。
たまには、男バスみてみるかぁ
「・・・っ!!」
あたしは、言葉を失った。
背番号18・・・北野春也・・・。
今年、一緒のクラスの男子。
華麗なドリブルをほどこし、シュート・・・
ありえないぐらい、かっこいい。
この瞬間から、あたしはバスケの・・・北野春也の虜になった・・・

中2になったばっかりのころ・・・
この出来事が起きて、あたしは次の日から、北野君に惹かれだした。
多分、バスケだけじゃないと思う。
そのとき、授業の終わりを表すチャイムが鳴った。
あぁ
やっと、終わった・・・。
あーでもどぉしよ。
ノート写してないよ・・・
北野君のことばっか考えてたし。
しょうがなく、あたしは親友の上田羽多(うえだうた)にノートを借りることにした。
「羽多ぁー、ノート写さしてくんない??」
羽多はくりくりの目をパチパチっとさせ、ニコっと笑って、
「いいよー。忘れてたの??」
「うん笑」
あたしは、笑いながらノートを受け取る。
「もー相変わらずなずならしいなぁ。こんどから、しっかりとるんだよー??」
羽多は、ノートのまとめ方がすごく上手。
だから、自分で書くより、頭よくなる気がする。
「ねぇなずな、次、修学旅行の研修班決めじゃん!!やっぱ、北野君と一緒がいいよねー?」
「・・・あ、そうだった。」
もうすぐ修学旅行。
つぎの時間は、研修班やら、部屋のメンバーやら、決めたりするらしい。
「クジ、だっけ??」
「うん」
・・・やっぱ、一緒がいいなぁ。