...だけど


「渡辺、何帰ろうとしてるんだ?」


どこからか来た先生に呼び止められた。


「いや...先生がいなかったんで」


「それは悪かったな。じゃあみっちり仕事してもらうぞ」


そう言いながら先生は歩きだした。


...さっきの笑いはなんだったんだ。


自然と笑みがこぼれる、とか言ってたのに。


私はまた、重たい足取りで先生について行った。




───────...


「終わったー」


誰もいない教室に私の声が響く。


1時間くらい仕事をしただろうか。


まだ夏だって言うのに外は薄暗くなっていた。


私がやっていた仕事って言うのは...


だぶん次の会議で使う資料をホッチキスでとめる作業。


資料には文化祭とかの事が書かれていた。


私達の学校は11月に文化祭がある。