<唯華side>
...暑苦しい。
「もう寝ていられないっ!!」
私は、ベットから跳ね起きた。
そのまま自分の部屋を後にする。
「おはよ。お母さん」
「おはようじゃないわよ!!遅刻よ遅刻!!」
「へ?」
バタバタしているお母さんにそう言われて時計を見ると...
「やばっ!!7時50分じゃん!!」
私ったら!!8時には学校にいなくちゃいけないのに!!
急いで制服に手を通す。
久しぶりだなー、この感じ。
って!!そんなこと考えてる余裕ない!!
頑張って走ったら間に合うかな?
間に合いますよーに...
もう、私のばかばかばかっっ!!
「朝ごはんいらないっ」
私は急いで家を後にした。
えっとまず自己紹介!!
私の名前は渡部唯華(ワタナベユイカ)
17才の高校2年生。
残念ながら、彼氏はいません。
昨日まで夏休みだったんです♪
大親友のあずこと、内田彩純(ウチダアズミ)とEnjoyしていましたっ★
だからって寝坊するなんて...あり得ないっっ!!
走ること10分...
「はぁはぁ」
全力で走ってきたからなんとか間に合った。
「おはよう。唯華」
「おはよー。あずちゃん」
まだ荒い息を整えながらあずちゃんにあいさつをする。
「遅かったね。寝坊??」
さすが!!
鋭いなー、あずちゃんは。
「あはは。まぁね...」
あずちゃんには昔から隠し事ができない。
「唯華。ちょっといい?」
「うん...どうしたの?」
あずちゃんからの相談とか珍しい。
まぁ、相談じゃないかもだけど...
「私さ...隣のクラスの近藤潤って人と付き合うことになった」
なんだ...相談じゃないじゃん。
って...
「えぇ!!」
付き合うって...カレカノだよね??
恋人って事だよね!?
「おめでとー!!あずちゃん!!」
あずちゃん、モテるのに彼氏を全然作らなかった。
まぁ...私も彼氏一回も作ったことないけど。
「ありがと」
えへへ、と照れたように笑うあずちゃん。
あずちゃんが照れてる!!
かわいぃ~!!
こんなあずちゃん初めてみた!!
「いつ告白されたの?」
「えっとねー...2日前」
へー...
まだ2日しかたってないんだ...
できたてほやほやですねー
なんか...
私も彼氏ほしいなー、なんて。
「なんて言われたの?」
めっちゃ気になるんだけど。
なんて言ったらあずちゃん、落ちるんだろ...
「えー、それ聞く?」
あはは...
あずちゃん、本気で照れてます。
「えっとねー...」
あずちゃんが言いかけた時...
「みんな席に付けー」
運悪く先生が入ってきてしまった。
先生は30代後半の男。
みんなの事を名前の呼び捨てで呼ぶから、あずちゃんはきもいって言ってた。
「あとで教えてねー」
だって気になってるんだから!
「えー、どうしよっかなー」
「あずちゃん、いじわるっ!」
教えてくれてもいいじゃんか!
そう思ってふて腐れていると...
「はいはい、後でね」
と席に戻っていった。
後で?じゃあ、教えてくれるんだ!
やったー!
「えぇー...みんな静かに」
その声と同時に静まり返る教室。
「えー...このクラスに転校生が来ている」
転校生かー...
まあ、女の子がいいなー。
男の子は...
なんかヤダ。
男の子がキライって訳ではないけど...
男の子だと仲良くなれる気がしない。
なんか生まれつき男の子と関われない体質なんだよね、私。
私だったら一生独身とかあり得るかも。
だって、彼氏いない歴17年だよ?
でも、高校では絶対彼氏作るっていう目標があるんですよ。
「静かに!」
転校生ということで教室がざわざわし始めたからもう一度先生が声をかけた。
でも、そんな静かだったら転校生も緊張しちゃうじゃん。
「入っていいぞ」
その声でガラッと教室のドアが開いた。
入ってくる転校生。