車を覗き込むが後部座席には誰もおらず、その傍には車から救出されたらしい男が、頭から血を流し救急車の到着を待っていた。
流れる血を拭った跡が所々乾きどす黒く変色している為、顔が良く解らなかったが、背格好から香織の警護を頼んだ小村とかいう運転手だと判断した。
「おいっ!お前、小村とか言ったな? 香織はどうした? 無事なのか?」
「え…? あ…っ、あ、浅井様? すっ、すみませんっ! 車が大変なことに」
「車? そんなものどうでもいい、香織はどうした?」
「え? お嬢様なら先ほど駅で降りられました。
警護には村田さんが同行していますので心配はありません。私は荷物をご自宅までお届けに伺うところでした」
「駅だと? どういう事だ?」
「実は私の運転が未熟なため、お嬢様は別荘を出て程なく車に酔われてしまいました。朝から余り体調が良くないとの事でしたので、渋滞や長距離の乗車を心配した村田さんが、電車でお帰りになることを提案したのです」
村田というボディーガードは、身長が190cm以上ある厳(いか)つい男だった。
大柄で筋肉質の柔道選手のような男が、いかにも窮屈そうに暑苦しい黒のスーツを着て、サンドレスの華奢な女の子と歩いていたら、えらく目立つことだろう。
彼女を狙っている者の為に自らターゲットですと宣言しているようなものだ。
流れる血を拭った跡が所々乾きどす黒く変色している為、顔が良く解らなかったが、背格好から香織の警護を頼んだ小村とかいう運転手だと判断した。
「おいっ!お前、小村とか言ったな? 香織はどうした? 無事なのか?」
「え…? あ…っ、あ、浅井様? すっ、すみませんっ! 車が大変なことに」
「車? そんなものどうでもいい、香織はどうした?」
「え? お嬢様なら先ほど駅で降りられました。
警護には村田さんが同行していますので心配はありません。私は荷物をご自宅までお届けに伺うところでした」
「駅だと? どういう事だ?」
「実は私の運転が未熟なため、お嬢様は別荘を出て程なく車に酔われてしまいました。朝から余り体調が良くないとの事でしたので、渋滞や長距離の乗車を心配した村田さんが、電車でお帰りになることを提案したのです」
村田というボディーガードは、身長が190cm以上ある厳(いか)つい男だった。
大柄で筋肉質の柔道選手のような男が、いかにも窮屈そうに暑苦しい黒のスーツを着て、サンドレスの華奢な女の子と歩いていたら、えらく目立つことだろう。
彼女を狙っている者の為に自らターゲットですと宣言しているようなものだ。