それと、同時に室内には何とも言えないような空気が漂う。
拓弥と一緒になると途端に明るくムードメーカーになった篤が出ていったことで、漂うどんよりと澱んだ空気。
そんな空気を打ち破ったのは望だった。
「ねぇ、これで良かったの…?」
「ああ…」
「拓弥も?」
「……………」
望がちらりと拓弥の方を見る。
拓弥は何も言わずに拳を握り締めていた。
こいつは珍しい事に感情的に怒鳴るような事はしなかった。
それは、言っても無駄だと分かっているからか、それとも言うことで篤を責めてしまわないようにするためか。
拓弥の内心まではやはり分からないけど。
一つ言うなら、いつも騒がしい拓弥が静かだとこっちの調子が狂う。
それは望も同じようだった。