「分かった」
「宏紀!?本気なの?」
望の驚く声が聞こえる。
バンドの行く末を思っての動揺。
それが、ヒシヒシと伝わってくる。
しかし、あいつが決めたことはもう覆すことはできないのだから。
だったら、認めてやって気持ちよくこのバンドを去って行けるようにしよう。
そして、俺は篤の顔は見ずにこう告げた。
「篤…お前が抜けても、お前はこのバンドの仲間だ。…一生な。キリが付いたら戻って来い。それに、暇な時には顔見せてくれ」
「あ…ああ!本当にありがとう…それじゃあ…な」
篤はそれだけを言い残すと音楽室から出て行ってしまった。