「まぁ、親父の言い分も分かるしさ。来年には受験だ…」



一度、言葉を切ると決意したように顔を上げた。


言葉を発することで、自分の気持ちを強くするかのように。


流されないように。


意志の込められた瞳が俺たちを見ている。



「だったら、早い段階から受験勉強を始めることにした。だから、バンドを辞めるんだ」


「そんな…!」



望が何か言いたげに口を開いたが、続く言葉は拓弥によって遮られた。



「…お前は、それで良いのか…?」


「あぁ…自分で、決めたことだ」


「そうか…」



拓弥は静かな口調で一言だけ零した。