拓弥と望は戸惑っている反面、冷静でいる自分。
何で冷静でいられるのかは、篤がどんな理由でこんな事を言ったのか、ある程度予想が出来たからだ。
おそらく、あの人のせいだろうと。
「……っ」
一瞬開いた口が閉じる。
そして、篤は再びその重たい口をゆっくりと開いた。
「……親父に、ばれたんだ。くだらない事をやるくらいだったら、一流の大学に入れるよう勉強しろってさ。楽譜も全部、捨てられちまったよ…」
体の横で握り締めている拳がその力からか、細かく震える。
俯き答える篤の表情は読み取れない。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…