そして、いつも肌身離さずかけている大きめの黒縁メガネを外すと、ゆっくり目を瞑った。


綺麗な青空が視界から消える。



イヤホンをして目を瞑る。


そうする事で周囲から完全にシャットアウトされ、ここに居るのは岡本(オカモト)かなで。


私ただ一人だけなのだと言う錯覚に陥る。


その感覚がたまらなく好きだった。



強い風が吹き抜ける。


その風は私の長い髪を緩く結っていた2つのゴムを悪戯に解いていった。


縛るものを失った長い髪は風に乗って靡きだす。