二人は急な篤の発言に動揺を隠せないでいる。


それぞれが手に持っていたベースとドラムスティックを放り投げ、篤に詰め寄りそうだ。


さすがに、それぞれ大事なものなので投げるようなことはしなかったが。


それでも、篤の発言は急なことで動揺するのも分かる。



そんな二人をどうにかその場に抑え、俺は混乱の元凶となっている篤の前に出た。


篤は俯いているため、どんな表情を浮かべているのか俺からは分からない。


ただ、漂う空気は明るくはない。


いつも明るく周りを笑顔にしていた篤からは考えられないことだ。



「篤…何で、そんな事を言ったのか教えてくれるか?」



俺は変に冷静な自分に疑問を持ちつつも、そんな篤に問い掛けた。