「だってさー、こんなおいしそうな新作見せられたら悩むよ」

ガラス越しにケーキを睨み付け、しるふが海斗に返す

さっきからずっと待っている海斗からは苛立ちは感じられない

もちろん、呆れ果てた顔はしている

ああ、相変わらずだな

そう思いながら微笑み、

「しるふちゃん、その新作サービスするよ?」

そう言うと、カウンター越しの言葉にしるふがぱっと顔を輝かせて秋穂を見上げる

「ほんと!?秋穂さん!!」

隣で海斗が「お前、狙ってたろう」とつぶやいている

「うん、いっつも二人にはいいものたくさん貰ってるからね」

「いいもの?」

秋穂の言葉にしるふは首をかしげ、続いて海斗を見上げる

「ねえ、海斗。秋穂さんに何か貢いでる?」

「いや、特に。いつもしるふがご迷惑おかけしてますっては言ってるけど」

「ちょっと!迷惑なんてかけてないもん!!」