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夢は終わり目を開けるとそこは俺の部屋だった。外は出かけた時より白がかっていて俺は一日中寝ていたと言うことに気づく。かといって目を覚ました今は夜が明けたばかりの時間でまだ誰も起きていなかった。平「そう言えば倒れたんだっけな…俺。きっと山崎君が運んでくれたんだろうし後で礼をいわねぇとな。そういえば夜空…」
俺が身を起こして探すまでもなかった。夜空は隣で布団も敷かずにすうすうと寝息を立てて寝ていた。
平「夜空近…。ていうかこんなところで寝てたら風邪引くじゃん。」
俺はそうつぶやくと夜空を布団の中に引き込み抱きしめた。
夜「ん…。」
夜空は少しきつかったのか寝言を立てた。ただそれだけなのに俺の鼓動は激しく波打つ。俺やっぱり夜空が好きなんだ。
平「夜空はまだ俺のことが好きか…?」
夜空の寝顔にそう問いかける。
平「あうのも久しぶりだし京の都に来るのは初めてだろ?いろんな物を見せてやっからな。桜とか紅葉とか祇園祭とかすっげえ楽しくて綺麗だからよ…。」
さっきより強く抱きしめたせいか夜空は目を覚ました。
夜「平助君?」
平「んー起きたか?」
夜「うん…。」
夜空は少し寝ぼけながら状況を見ると俺に抱きしめられている事に気づき顔を赤らめる。恐る恐る上目づかいで俺を見る。もちろん俺もそれをみて顔を赤らめる。
夜「平助君もう頭は大丈夫?」
平「おー。もう全然大丈夫。」
夜「そっか。うなされてたから心配したよ。何か嫌な夢でも見てたのかな。」
夜空が少し悪戯っぽく言う。
平「見た。とっても嫌な夢。夜空の。」
夜「…。」
平「お前はお前だからな。好きなように生きろ。それを邪魔する奴がいたら俺がお前を守ってやる。絶対に俺はお前を見捨てないから。安心しろって。」
夜「…うん。」
平「後な夜空…」
夜「何?」
平「産まれてきてくれて、こんな俺をまだ好きでいてくれてありがとな。俺も…俺も夜空のこと好きだから。」
夜「…!」
夜空は途中から耐えきれなくなって涙を流していた。でもそれは夢で見た後悔や諦めなんかじゃなくて今までのことがすべて報われたような希望の涙だった。
その後夜空の涙が収まるまで俺は夜空を見ていた。

本当に…



今日があの有名な池田屋事件が起きるなんて…