「そうだよね・・・
あんな辛い過去なんて
思い出したくないよね・・・?」

「・・っ!!・・・
どうして・・・・・」

「でも、話さなきゃ・・
野上さんには、あなたの過去の真実を
知ってもらわなきゃいけない」

「過去の・・・・・真実・・?」

私は過呼吸になり始める。
はぁ・・はぁ・・・はぁはぁ・・・・

段々と息が乱れてくる。
そこに、彼女の声が響いた。

「あなたを犯したのは・・・
私のお兄ちゃん・・なんだ・・・」

彼女はそう言うと、
泣き崩れてしまった。

私はその瞬間、息を飲んだと同時に
過呼吸が段々と治まっていった。

「え!?」

そう声を出すのが精一杯だった。

目の前の彼女は泣きながら静かに
語りだした。

「私のお兄ちゃんは、私と10歳年が離れてて、中学、高校、大学共に首席で
頭が良かったの・・・・。
それで、お兄ちゃんの夢だった、
医者になった。
でも・・・・・。」