そんなアマネを、含みのある笑いで、ヨゾラは見つめた。


「いやだなぁ。
相談だなんて言わないでよ。
お兄様は魔王なんだからね?
するんなら、相談じゃなくて命令でしょ。
僕なんかに、気をつかっちゃダメだよ。
・・・で?
僕は、何をすればいいの?」


自分を卑下するようなヨゾラの言い方に、アマネは違和感を感じて、仕方がない。


本当なら2人は、魔界の王子と王女として、堂々と王宮内を歩き、アマネと同じテーブルについて、食事もできるのに。


父や母が恋しかった時期も、滅多な事がない限り、会う事すら許されず、外部との接触を絶たれたヨゾラとイザヨイは、2人だけの世界観の中で、閉鎖的な生活を送ってきたのだ。


多少性格が屈折するのも、無理からぬ事であった。


「ヨゾラ様。
初めてお目にかかります。」


悲し気なアマネの横顔を見て、シラサギが助け船を出した。


「初めましてシラサギ。
でも、実は僕、初めましてじゃないんだよ。
この小さな窓から、シラサギがお兄様と一緒に居る姿を、何度か見かけているんだ。」


「まぁ、そうでしたか。
これは大変失礼致しました。」


シラサギは、椅子から立ち上がって、ヨゾラに深々と頭を下げた。