満面の笑みで、兄の腕を引っ張り、部屋の中に招き入れるヨゾラは、心から嬉しそうである。


「お兄様!久しぶりだね。
あっ!シラサギにも僕達の事、教えたんだ?
うん。別にいいよ。
お兄様が選んだ妃だもんね。
で?どうしたの?
イザヨイの事かな?」


ヨゾラは楽しげに、いつも以上に饒舌にアマネに語った。


「何かなければ、お兄様がわざわざ、僕の所になんて、来る訳ないもんね。
でも、それでもいいんだ。
お兄様に会えて、すっごく嬉しいよ、僕。」


「ヨゾラ・・・。」


「あっごめんね、お兄様。
魔王がそんな、悲しい顔しないでよ。
ちょっと、言ってみたかっただけ。
気にしないでね。
それよりイザヨイの事でしょ?
イザヨイ、お兄様の所に行ったんだよね?」


「あぁ・・・。」


アマネはヨゾラの言葉に、ぐうの音も出ない。


確かにヨゾラの言う通り、特別な事がない限り、アマネがここへ来る事はなかったからだ。


「ヨゾラ。
いつも淋しい想いをさせて、すまない。
お前の言う通りだよ。
今日俺は、イザヨイの事を相談しに、ここへ来た。」


勧められた椅子に座りながら、アマネはヨゾラへ、申し訳なさそうに謝った。