アマネはクイっと顔を上げた。


「シラサギ、俺はヨゾラの所へ行ってくる。」


「は・・・い・・・。」


「イザヨイの事、ヨゾラと話し合ってくる。」


「かしこまりました。
ご存分に、納得いくまでお話し合いをなさって来て下さい。
但し、私も同行致します。
アマネ様のご妹弟なら、私もご挨拶させて頂きたいですから。」


シラサギはニコッと笑ったが、アマネに否と言わせない空気を、醸し出している。


「好きにしろ。」


はにかんだ笑いを返して、アマネは部屋を出た。


魔界の空は、昼夜問わず薄暗く、今は夜ではあるが、朝と然程景色は変わらない。


窓から羽ばたき、目的の場所へと移動するアマネとシラサギは、事の他、辺りに見られないよう、注意を払っていた。


地上に降りた2人は、一際小さな窓がある壁を伝い歩き、小さな入口にたどり着いた。


ドアを叩くと、充分時間を置いてから、ほんの少しだけドアは開き、中から怪訝な顔をした美少年がアマネ達を覗き見た。


その少年・・・ヨゾラは、訪問着が兄であると知り、勢いよくドアを全開にした。