緑川くんがいなくなって、あたしはひとり無言でベンチに座っていた。 どうしよう…… もし、東海高校に行くことになっちゃったら…… 不安が頭を過るなか、理恵先輩があたしにこう言った。 「あたしたちが負けると思ってるの?」 ────楓高校が、負ける? そんなことない。 勝てる。 そう信じている。 「思ってません」 「だったら、信じなよ。楓高を、このチームを」 ────はい。 心の中で返事をした。