彼は人と人の間を簡単にすり抜けていくのに、あたしは勧誘している人につかまるばかり……



な、なんで彼はつかまらないの?!



────ギュッ



「……へ?」



彼に手を握られた。


彼はいたって平然としている。



「離れないようにしてください」



そして再び歩き出す。



驚くことに、誰にも声をかけられないままスムーズに動いていくことができた。