彼から離れて、あたしは歩きだす。



「……ほら、つれてってくれるんだよね…?」


「もちろんや!」



抱きしめることに抵抗の欠片もない緑川くん。



たらしだなあ……



「あっ!!いま変なこと思ったやろ!?」


「おっ……もってないよ?」


「怪しいわ!!」



あははっと乾いた笑いをするあたしに、やれやれといった感じで緑川くんは肩をすぼめた。



そして、あたしの前を歩き始める。



「オレの後をついてこいよー!」



それから数分後。



監督のもとへたどり着いた。



そこにはすでに、理恵先輩がいて、もう話終わった様子だった。