「なんで?中学は城南にいたんでしょ?高い目標とか……ないの?」
「はい。ありません」
思わず拍子抜けしてしまった。
城南の……ましてや光の代の子が、なにを言うか気になっていたから。
全勝する!
とか、そんなことを言うのかと思っていたし……
「あっ、でも」
彼はポツリと、何かを思い出したかのように呟く。
「みんなでバスケができれば、それでいいです」
……なんて可愛いことを言うんだろうか。
イマドキの高校生じゃ、絶対言わなさそうなのに……
────でも
あたしは嫌いじゃない。
あたしが、そうだから……
あたしは誰にも気づかれないようにそっと、肩を掴んだ。