「オレは黒くんが考えてることがわからん。黒くんやって、勝つことがすべてやったやないか!」



勝つことがすべて。



それは、中学校のときのこと。



だけど、考え方が変わったんだ。



いや、戻ったと言ったほうが正しいのかもしれない。




「あの頃の僕とは違う」



「……試合中のときだけ敬語がなくなるのも相変わらずやなあ…」



「……そうですか?」


「燃えてくるとな」



ふわりと微笑んだあと、緑川くんは僕をしっかりと見つめて言った。



「悪い。勝たせてもらうわ」