「なんで、俺じゃダメなの?」



なんで…か…



「確かに、朔弥は意地悪だし、ちょっと俺様なとこもあるけど、いつも私のことを考えてくれて…

優しくて、隣にいてすごく安心するの。
私は、朔弥じゃないとドキドキもしないし、好きだとも思わない。だから…」



「花音ちゃん?」




自分で言っていて、気づいた




だから、側にいたい




朔弥の側にいたい




私、いつからこんなに臆病になったのかな



前は強がりだったけど、ちゃんと言いたいことは言ってた



それが今ではどう?



朔弥に甘えてばかりだ




今だって、心の中で、朔弥が会いに来てくれるって思ってたんじゃないの?



本当に側にいてほしいなら、ちゃんと言葉にしなきゃ伝わらないのに




私は立ち上がって、走り出す




「え、花音ちゃん!?」





走って、大学の門を出て


朔弥の大学に向かって走る