「……じゃあ、な」




朔弥はそう言うと、人混みに紛れて行った



「待ってっ……!」




必死に朔弥の後を追いかけたけど、人が多くて見失ってしまった





朔弥の傷ついた顔が、私の頭を埋め尽くす





ズキンズキン…と、胸が傷んだ





ごめんね、朔弥…





謝る

それしかない




……なのに





「なんで帰って来ないの……」






その日から朔弥は、家に帰って来なくなった



どこにいるのかも分からない




寂しさと、悲しさと……



なんで、あんな事を言ってしまったんだろうっていう、自分に対する苛立ちと後悔




朔弥…


戻ってきてよ…




私は一人、部屋で泣いた