「ごめん!大丈夫!?」


慌てて奏くんの体から離れる。


うぅ……やっぱり私、ドンくさ過ぎる。


奏くんは痛そうに頭をさすった。


「頭打った?」


「いや、大丈夫」


「ごめん!ホンットごめん!」


奏くんはフッと笑って「そんなに謝んなくていいよ」と言った。


その笑顔を見てちょっと安心する。



ホッとしたのも一瞬で、奏くんの背中は草だらけ。左手はすりむいて少し血が出ていた。


「ご、ごめん。奏くん…。血が…」


奏くんは左手をチラッと見た。


「あぁ。こんなの大したことないよ」


「ダメだよ!砂がついてるもん」


私は辺りを見渡して手洗い場を探した。


100mほど先にトイレの看板が見える。


「こっち来て」


私は奏くんの腕を引っ張るようにつかんだ。