「ちはるー。向こうのお土産物屋さん見に行こう」


つかさが手を振って呼んでいる



「ごめん、先に行ってて!まだこれ食べさせてないから」


私はまだ1枚もあげていない鹿せんべいを見せた。


「わかったー!めっちゃ寄ってくるから気をつけて」


つかさは笑いながらそうつけ足した。


確かに、さっきまでつかさたちの周りにはたくさん鹿が群がっていた。


私は自分の座っているベンチの周りを見渡した。


ちょうど近くにバンビみたいな仔鹿がいて、そのコにあげようと狙いを定めた。



「こっちおいで」


仔鹿はせんべいにつられて寄ってきて、パクりと食べた。



かわいい~


まったりと癒されていると、どこから現れたのか大人の鹿たちが寄ってきた。


「えっ……」


ジリ、ジリ、と私を追いつめるように近づいてくる。


ちょ、ちょっ、ちょっと!
怖いんですけど……


ぎゃーっ!