「一応全部取ったと思うけど、他に痛むとこない?」


「大丈夫。ありがとう」


結局私の手には12本もトゲが刺さっていて、奏くんはご丁寧に消毒までしてくれた。


「お手数おかけしました」


深々とおじきすると、奏くんは「いえいえ」と言いながら笑った。




「ごめんねー」


カラカラと戸が開いて、三上先生が戻ってきた。


「大丈夫だった?どれどれ」


三上先生は私の右手をチェックした。


「うん。完璧ね。さすが奏くん」


先生に誉められたのが恥ずかしいのか、奏くんは「どーも」とぶっきらぼうに答えた。


「さ、そろそろ授業始まるから、教室戻りなさい」


先生にうながされて二人で保健室を出る。


うぅ……教室まで二人か……


何か緊張する。