「か、奏くんは、今日も保健委員?」


沈黙に耐えかねて尋ねる。


「いや、今日は違うけど、たいがいここでメシ食ってる。エアコン効いてて快適だしね」


「そうなんだ」


奏くんって……


「友達いないの?」


ヤバイ。思わず口に出してしまった。


「ははっ、直球だね」


よかった……。気にしてないっぽい。


「いないわけじゃないんだけど、あんまりツルむの得意じゃないんだよね」


あ、取れた。と、奏くんは小さなトゲをティッシュの上に乗せた。


「俺、昔から人の考えてること何となくわかっちゃって、余計なこと言っちゃうんだよね」


もうちょい我慢してな?と小さく呟いて、奏くんはまた私の手の平に目をやる。


「小島さんにも余計なこと言ったなって反省してる」


「えっ、いや、全然……当たってたし……」


うぅー。何て答えればいいのやら……


「ごめんごめん。困らせちゃったね」


奏くんは片方の眉だけ下げて笑った。


「こーゆうとこ、直しなさいって言われたことあるんだけどな」


「え?」


「あ、でかいの取れた」


奏くんはホクホクと満足そうに言った。


一瞬、寂しそうな顔したのは、気のせいだったのかな?