「ごめん、しみるかなぁ」


私は奏くんの傷口を水ですすいで、消毒した。消毒液は奏くんが持っていた。
(さすが保健委員…)



傷口をハンカチで押さえる。


「ごめん。ハンカチ汚れるね」


「そんなのいいから。謝んなきゃいけないの私だし」


奏くんの腕や肩についた草を払う。


よく見たら頭にも草がついていたので、屈んでほしいとお願いした。


奏くんはその場でストンとしゃがみこんで、つむじが見えた。


不謹慎だけどかわいいと思ってしまった。


「ホントごめんね。何かぼーっとしてたらあんなに囲まれちゃってて」


「考え事でもしてたの?」


ドキッ……


「うん、まぁ…」


「もしかして、森下に告られたとか?」


!!!


「……………………奏くんって、もしかしてエスパーなんじゃない?」


「あははっ」


奏くんは「当たりか」と言って笑った。