奈緒は俺の姿を見るなり、安堵の表情を浮かべた。
俺も安心できる人間じゃねーんだけどなぁ。
男共はバツが悪そうに理香子たちの方へ戻っていく。
栞が心配して奈緒の方へ近寄ってきたが、俺の顔を見るなり笑いながらどっかに行った。
なんだあいつ。
俺がその場にしゃがみこむと、奈緒も隣に座ってきた。
相変わらずオドオドしてる感じがイラついていじめたくなる。
「・・・あの・・・陸さん・・・ありがとうございました・・・」
波の音にかき消されながらも奈緒は静かにしゃべりだした。
イラついて思わずこう返してしまった。
「・・あ?何が?」
そう言うと、奈緒は少し驚いた表情をし、
「あの・・・助かりました・・・」
とさっきよりも少し大きめな声で言った。