砂浜に戻る時、階段に目をやると、案の定奈緒が理香子のダチに話しかけられているようだった。
へぇ。モノ好きもいるもんだね。
その男共に感心していた。
あの女がどんなやり取りをするのか見たかったので、俺は少し近づいてみることにした。
片方の男が奈緒の腕を掴み、無理やり立たせようとしている。
ああ、そんな誘い方じゃだめだなーあいつも嫌がってんじゃん。
すると、奈緒は物凄い青ざめた表情をした。
「なんだよ、震えちゃってんの!?可愛いねー♪」
男の声に、奈緒はガクガクと体を震えさせているようだ。
その時、俺は奈緒と百合が重なって見えた。
百合もああやって無理やり連れて行かれたんだろうか。
心の中で何度も俺に助けを求めていたはずだ。
そう思った瞬間、俺の足は奈緒とその男共の方へと向かっていた。