俺は最近仕事がハード過ぎて疲れがたまっている。
正直帰って寝たい。
行く気がない事を伝えると、正面に座っていた奈緒が顔を上げた。
しかし栞と亮があまりにもしつこいので、無理やり行かせられるハメになった。
今日はあいつらのペースに振り回されっぱなしだな。
百合が言ってたっけ。
夏になったら絶対花火やろうね と。
そんな些細な願いも叶えてやれないまま百合は逝った。
だから俺は花火があまり好きではない。
「陸さんってぇ、乱華の頭なんですよねぇ!?」
理香子のダチが花火を持ちながら、俺の隣にくるなり猫なで声でしゃべってきた。
化粧バッチリなその女は、体のラインがはっきりわかる服を着ている。
その出で立ちやしぐさから、俺を誘ってきているのがわかる。
「まぁ・・・」
俺は一瞬その女に目を向け、また花火に視線を戻した。