「そ、そんなことないです!!!」
いつも蚊の鳴くような声でしゃべるくせに、俺の耳元で急にでかい声を出しやがった。
しかも腹に手を回すんじゃなくて、俺の肩を物凄い力で掴んでくる。
「・・・ぶはっ」
俺は思わず、吹き出してしまった。
こいつわざとやってんのか?
肩を掴んでいた手を俺の腹に回そうと手を掴むと、奈緒は手汗をかいていた。
動きも硬い。
どんだけ緊張してんだよ。
本当にウケルなこいつ。
俺に手を掴まれ更に動揺して、何もしゃべらなくなってしまった。
メットを渡すと、かぶり慣れていないのかあたふたしている。
見てて飽きない奴だな。
「腹ちゃんとつかんでろよ」
俺はアクセル全開でコンビニを後にした。