「絢華」


「ん?」


「気長にいこうな?」



気長に?



「27年間わからなかったことなんだからさ、ゆっくりでいいじゃん?」


「うん」



確かにお母さんのことには、27年間ほとんど触れることがなかった。


ましてや、お父さんのことなんて、一度も口に出したことはない。


今になって、こうやってわいて出たように、川越さんや坂井くんのお父さんという知り合いに出会えた。


舜が言うようにゆっくりでいい。


少しずつ前へ進んでいければ。