「…先生。」


私は先生の方を向いた。


「困らせてごめんなさい。
…でももう忘れ…」


「ちょっと待てよ!」


私の言葉を冬也が遮った。


「…ずっと隠し通すつもりかよ…」


冬也は先生の顔を見て言った。
すると先生の顔は苦痛で歪んだ。


「…悠梨も、さっきの俺の怒号…
聞いてしまったんだろ?」


……ざけんなよ。
本当は好きなんだろ!?
なんで悠梨を悲しめるんだよっ!

確かに冬也はそう言った。


「川内…聞いてたのか…」


私は戸惑いながらもコクリと頷いた。


「…逃げるなよ。
悠梨は逃げずに戦ったんだ。」


冬也の優しい声が保健室に響いた。