学校から約10分のところにある駅。
私はその駅のベンチに座った。


あと15分で5時…


「…悠梨?」


え…?
私は聞き覚えのある声に思わず振り返った。


「冬也くん!」


まさか、こんなところで会うなんて思いもしなくて、私たちは共に驚いた顔をしていた。


「…悠梨、学校にいたの?」


「あ、うん。」


そっか。
今、私制服着てるからわかるよね。


「せっかくならバイクで送ってやるから乗ってけよ。」


冬也くんの言葉に私は静かに首を振った。


「ありがとう、冬也くん。
でも私は先生と帰る約束してるから大丈夫だよ。」


「…そっか。
じゃあまた新学期な!」


「あ、冬也くん!」


去っていこうとする冬也くんを呼び止めた。


「どうした?」


「これ…クリスマスプレゼント。
新学期に渡すつもりでいたけど、今会えたから…」


たくさんお世話になったから。
たくさんのありがとうをクッキーに詰めたの…


「…悠梨、ありがとう。」


「日頃の感謝の気持ち。
こちらこそいつもありがとう。
じゃあまた新学期ね!」


「ああ。
じゃあな!」


冬也くんはバイクに跨がるとそのまま去っていった。


それと入れ替わりに先生がやってきた。