黒板の前にたったはいいものの、素で分からない。さすが俺。
「松井ー。解けたかー」
「さっぱりです」
俺が答えた瞬間、教室のいたるところから笑い声が漏れる。
「そりゃそうだ。それ、某有名大学の入試で、正答率2パーセントの問題だから」
「どんな問題だよ!!」
俺はまだ高校一年生だ!! そして馬鹿なんだ!!
改めましてこんにちは。いや、まだ一回もこんにちはしてない。
松井 徹です。「てつ」じゃないよ。「とおる」だよ。自分自身でもたまに読み間違えるけど「とおる」だよ。
「……よーし。じゃぁ続きやるぞー。松井は教科書15から25ページをよめー。その間先生は寝る」
「教師にあるまじき発言をしたね!? っていうか俺、11ページも読むの!?」
「おー。大丈夫大丈夫。全部文字だから」
「どこが大丈夫なの!?」
なにその地獄!! 死ねって意味!? 絶対音読したら30分はかかる!!
「安心しろ。授業はあと2分で終わる」
「俺に授業後も音読しろと!?」
「おー」
「無茶言うなぁ!!!」
無理だから!! 確実に無理だから!! 死ぬから!! 俺死んじゃうから!!