「じゃあ、何してたの?」
「……」
「本当は、あいつも追いかけようとしてたよ」
「え…」
樫野くんも…?
「でも、そこにいた女子が止めてた。…あの子も、友達?」
美都…。
なんで、止めてくれたんだろう。
「うん…。同じ班の子…」
私は頷いてそう言った。
美都に、感謝だ。
多分、今追いかけてくれても、樫野くんにはまだちゃんと向き合えなかったよう
な気がする。
もしかしたら、美都は私の心情を察してくれたのかもしれない。
京佑くんは樫野くんの告白を聞いてなかったみたいだけど、美都は聞いてたから。
そして、美都は私が樫野くんのことをそういうふうに見てないって、きっと、分かってたから。