「あ、あの。わ、私……」
頭がぐるぐると混乱して、何を言っていいのか分からない。
こういうとき、どうすればいいんだっけ?
掴まれた手首。
真剣な瞳。
「……私」
そうだ、返事、だ。
そう思った。
……そのときだった。
ガタン、と背後から音がした。
「!?」
びっくりして振り返ると、驚いたような顔の美都が立っていた。
「ごめん…っ!聞くつもり、なかったんだけど…っ」
泣きそうな顔で、美都はそう言った。
きゅ、と両手でココアの缶を握りしめている。
……そう言えば、美都、飲み物買いに行ったって…。
「私、その、屋上に、行ってて…」
ああ。
そうか。
星、見たがってたもんね。
屋上には、この階段からしか上がれない。