京佑くんとのゲームに負けるのは…、えっと。


負けた方が相手の言うことを何でもきく、だっけ。


そんなことはいいや。


それより、私は振られてしまうことの方が怖い。


嘉乃のゲームに負けたってことは。


……ん?



そもそも、このゲームの発端はなんだ?




「アヤ、私の弟と結婚して?」




そうだ、嘉乃のその言葉。



……結婚。




そう。



付き合うとかいろいろすっ飛ばして、私は京佑くんと結婚しなくちゃならない。




「……」


「アヤ?どしたの?…あ、予鈴」


黙り込んでしまった私を不思議そうに嘉乃が見ていた。


けれど、予鈴を合図にくっつけていた机を戻し、前を見る。


いつの間にか本鈴が鳴って教室に先生が入ってきてようやくハッとして、私は授業の道具を机に出した。





……ダメだ。


言えない。