「えー?そう?でも、学祭でも諒太郎さん結構声掛けられてたし、アヤが思ってるより多分、いろいろちゃんとしてるんだと思うよ?」



「いろいろ?」



「友人関係とか?友達って、言葉に出して確認なんてしないじゃん。普通に会って喋って、それが普通になったら、それって友達ってことじゃん」



嘉乃の言葉に、私はただ頷いた。


私は家の中の諒兄しか知らないのは確かだ。


もしかしたら、嘉乃の方がちゃんと諒兄のことを見てるのかもしれない。



「諒太郎さんの中で、たぶんいちいち友達ってカテゴライズしてないんだと思う。皆平等に知りあいで、仲間なんじゃないかな。でも、相手はちゃんと友達だって認識してる」


「…なるほど」


研究室の小動物系男子さん(結局本名なんだったんだろう)も、友達だって言ってくれてたし。


諒兄はきっと誤解されやすいのは確かだし、もちろん他の人に比べたら社交性なんて全然ないだろうけど。


でも、ちゃんと分かってくれる人もいて、諒兄には、諒兄の友達、ちゃんといるんだ。





「……嘉乃」