喧嘩というよりは
母さんが一方的に
怒鳴ってるって感じだが……

「なぁ琢磨、紅茶いれるけど飲むか?」

二人はほっといてキッチンに向かった。

「飲むけど、おじさん達はいいのか?」

まぁ、長引くだろし、
オレ達が何か
言えるわけじゃないから
ほっといても大丈夫だろう。

「まぁ、いいんじゃない」

紅茶の入ったカップを二人分持ち、
リビングに戻った。

今後のことを話しながら待つこと一時間。

父さんが席を立った。

向かった先は書斎のようだ。

そして、戻って来た
父さんの手には一枚の紙が握られていた。

それは、紛れも無く"離婚届け" だった。

結果から言えば離婚は成立した。

父さんが書斎から持って来た
離婚届けの夫の欄には
既にに名前が記入されていたのだ。

きっちり印鑑も押されて……

それを見て怒鳴る気力も
無くなったのか、
母さんは
一言二言文句を言ってから
乱暴に離婚届けに
名前を書いて印鑑を押した。

「今まで、色々と悪かったな」

父さんは母さんの
目を真っ直ぐ見て謝った。

そして、玄関に向かった。

「今から出して来る」

誰も何も言えないまま
父さんを見送った。

その後、
どぉなったかと言うと……

俺は琢磨のマンションに。

父さんは心夜さんのマンションに。

母さんはあの家で
暮らすことになった。